近年、漁業的な価値が高いサクラマスの資源量が減少しており、その原因のひとつに河川環境の変化が指摘されている.河川性サケ科魚類であるサクラマスは、河川での生活が長期間必要であり、その生息量は河川での生息環境の特性に影響を受けやすいためである.本研究は、1~2年を河川で生活する稚幼魚期の生息量と河川環境特性との関係を把握し、生息にとって好適な河川環境の保全、管理や改善、自然再生するための知見を得ることを目的とする.既存研究では、幼魚の生息にとって、淵量やカバー量など河畔林と関連した要因の重要性が指摘されている1).しかし、淵の質や淵以外の瀬等の河道環境特性の詳細な解析は行われておらず、また、移動しやすい幼魚の微生息場所を特定することは難しく直接的な生息環境の把握事例は少ない.本研究では、夏~秋季にかけてのサクラマス幼魚の生息量と環境変量の関係、特に河川物理環境変量を詳細に明らかにするため、河畔林等河川空間環境をできるだけ同一の区間を設定し、調査を行った.複数の瀬淵構造を含む区間スケールでの生息密度と物理環境変量との関係分析、また、区間スケールでの生息と変量関係の妥当性を、河床単位スケールでの水位、流速、餌の取り易さと、定位、休息しやすさ等魚類が利用する場所での環境変量要因で検討する.さらに、調査期間中の河川水位、河道状況の変化からも検討を加える. |