北海道はサケ、サクラマスなど川と海を回遊する代表的な魚類が多く生息している。また近年、河川環境に対する関心の高まりを反映し、数多くの河川横断工作物に魚道が設置されるようになってきた。しかしながら、今までに設置された魚道の形式やその魚道効果の現状についてはあまり把握されておらず、今後、より良い魚道の設計を行うためにはこれらの魚道の情報は必要不可欠となると思われる。このため、現在、北海道内に設置されている魚道についての傾向を把握するために、北海道内の魚道の各種データを収集し、データベースとして取りまとめた。設置された魚道の形式は、ほとんどの年代で階段式やアイスハーバー式などのプールタイプが主流であったが、1990年以降はスリット式や水路式等の魚道が設置され、魚道のタイプが多様化していることが明らかになった。プールタイプの魚道構造については魚道幅員とプール長、プール水深ともに大型魚を対象とした魚道が小型魚や底生魚を対象にした魚道に比べて小さいという傾向が見られた。魚体サイズが大きく、遊泳力の大きい大型の魚類ほど大きなプールが必要と言われているが、実際はこれとは逆に大型魚対象魚道のプールが小さくなっていることが分かった。 |