2003年8月9 日~10日にかけ、一級河川沙流川流域周辺では活発化した前線により観測史上最大の豪雨がもたらされた結果、多数の斜面崩壊が発生した。洪水氾濫被害のほか、流域からは大量の流木が流出し、各所で橋梁の流出などの災害が発生した。沙流川河口から約20km に位置する二風谷(にぶたに)ダム貯水池では、計画量の50年分に相当する5万m3に及ぶ流木が堆積した。筆者らは豪雨後に撮影された航空写真資料を用い、特に降雨量の多かった支川額平川流域(A=384km2)における斜面崩壊地を把握し、5000箇所以上の斜面崩壊地が新規に発生したことを把握した。[*]豪雨で広範囲に斜面崩壊が発生した場合、土砂と流木の再移動が河川管理上の懸案になることが想定される。沙流川流域周辺は付加体堆積物、白亜紀の堆積物、蛇紋岩などが混在し、造山運動による影響も受けているため、土砂生産量が道内でも多い地域である。沙流川周辺の豪雨による斜面崩壊に伴う土砂や流木の挙動については小流域を詳細に調査した研究..や沿岸付近の段丘面でテフラを指標として斜面崩壊発生頻度を推定したものはあるが、流域全体で土砂・流木収支を推定した例は少ない。ここでは、.. 年 月豪雨で斜面崩壊が多発した二風谷ダム流域について、これまで未判読であった残流域(A=831km2)の斜面崩壊地をSPOT5号衛星画像により判読し、流域全体での土砂・流木発生量と収支を推定した結果を報告する。 |