豪雨により斜面崩壊が多発すると,山腹斜面から膨大な土砂が河道に流入・堆積する.流砂系の総合的な土砂管理1)を進める上で,洪水時の土砂移動の量と質(粒径分布)のモニタリングが進められている.しかしながら,豪雨イベントによって斜面崩壊が多発し,山腹斜面の細粒分の多い土砂が渓流に流入した場合,多少の降雨でも土砂移動が容易になることが想定されるため,同規模の出水であっても移動する土砂量は豪雨イベントの前後で大きく変化すると考えられる.一級河川沙流川の支川額平川流域では,2003年8月豪雨により,4千箇所を超える斜面崩壊地が発生2)した.[*]筆者らの調査している沙流川流域は図-1に示す様に,プレート運動に由来した付加体堆積物,深成岩(蛇紋岩),正常堆積物(白亜紀の蝦夷累層群,新第三紀の堆積岩など)などが混在している.一部渓流の現地踏査の結果、斜面崩壊の形態(地すべりや表層崩壊など)や基盤岩の風化特性などが地質別に異なる可能性が示唆された.調査流域において同様の傾向を示すか否かについては、これまでの現地踏査的な手法では極めて困難であった.筆者らは,付加体堆積物と白亜紀堆積物が交互に混在した総主別川流域について航空レーザー計測結果から詳細なレリーフ図を作成し,部分的な現地踏査で把握された微地形の特徴がより広域な地質領域でも共通かどうかを明らかにし、さらに河川上流域から濁水が出やすくなったことに鑑み、基盤岩の風化特性について把握した結果をここで紹介する |