河川からの流出現象は降雨や降雪など気象要因の非均質性や標高分布,地質,水系網パターン,地殻変動などの地理的要因に影響を受ける.こうした水系網パターンの特徴を定量的に評価する試みはHortonやStrahlerによってなされ,Howardが水系網パターンを地質,火山,断層,降水量などにより6タイプ(Dendritic、 Parallel、 Trellis、 Rectangular、 Radial、 Annular)に体系化している.わが国では1980年代以降,国土数値情報DEM(Digital Elevation Model)を利用した地形研究 が行われ,地質と地形(水系網)の評価が試みられてきた.ここ数年一般的になった航空レーザー計測によって得られた地表面の高解像度DEMを用い,従来の陰影図よりも視覚表現を向上させた千葉らのレリーフ図による微地形表現の試みも行われている.しかしながら,水系網の特徴を航空レーザー計測結果を用いた客観的手法で再評価した例は少ない.一級河川沙流川流域は多様な地質で構成され,地質により斜面崩壊形態や土砂生産特性が大きく異なることが知られている.ここでは,特徴的な地質毎にどのような地形特性があるのかを航空レーザー計測で得られた高解像度の地形データとGIS手法を用いて明らかにした結果を報告する. |