本論では、渓流河川の堰堤工作物などに設置された魚道流入口上流部において、魚道流入口環境を維持するための構造設計の一例を提示するため、土砂堆積防止対策として水制工を用いた模型実験の研究事例を紹介し、この研究成果が実用化された事例について報告した。[*][*]本論で得られた成果を以下にまとめる。[*]1.模型実験の研究事例より、渓流河川の堰堤工作物などに設置された魚道流入口上流部において、魚道流入口環境を維持するためには①魚道流入口での水位は洪水中においても開口高さ以下とする②水制を堰堤袖部擁壁から魚道流入口幅bの1.5倍の位置に設置し、水制先端を堰堤袖部擁壁先端の延長線上に位置させることが重要であることを示した。[*]2.魚道流入口断面をボックスカルバート型から開口型に改良した事例や巨石(水制工)を堰堤袖部擁壁より魚道流入口幅の1.5倍の位置に設置し、先端を堰堤袖部擁壁の先端の延長線上に位置させた事例において、魚道流入口環境は良好に維持されることを示した。[*][*]以上のことより、本論で示した模型実験の研究事例は、渓流河川の堰堤工作物などに設置された魚道流入口上流部において、魚道流入口環境を維持するための構造設計の一例としの有効性を示唆するものである。 |