本研究は河川の環境機能を維持するため、生物の河川利用特性を明らかにするとともに、生息環境の保全を目的とした適切な調査が実施できるよう、生息環境の分類について考察を行ったものである。[*]河川の自然環境を保全するためには、生息生物が利用する物理環境を把握する必要がある。本研究では、河床材料、餌環境、河岸状況等様々な要素に影響を受けている魚類に着目し、検討を行った。魚類の生息環境は魚種毎に異なり、さらに、成長段階によって異なっている。水産学の既往の研究により、種々の魚種についての成育段階における生息環境の把握がなされてきており、個々の魚種について河川利用状況が明らかとなってきている。しかし、水産資源として、価値の低い魚種の生息環境や冬期間の越冬環境、季節変化、洪水時の生息環境については調査に非常な労力を必要とするためあまり行われていなかった。以上のことより、本研究では、北海道南部に位置する一級河川後志利別川をモデル河川とし、生息環境の日周、季周変化、産卵、洪水時避難等の調査を行った。さらに、河川を縦断的に踏査し、縦断的な環境の変化と生息魚類および利用状況の変化について把握を行った。これらの調査結果および既往の文献により把握した生息環境を大きく分類し、縦断特性とあわせ生息環境の区分を行った。 |