現在の河川管理における問題の一つに河畔林の伐採がある。自然環境を確保するうえで河畔林の意義は大きい。しかし、治水安全度の確保が重要な地域においては、成長過度な樹木の伐採は治水上必要であり、無条件に自然環境を保存、保護することを理由に河畔林を放置することは困難な状況にある。一方安全度確保のため伐採を行っても伐採効果が数年間続かなければ、頻繁に伐採を実施するためコストが嵩むことになる。現状では河畔林の多くは生命力が強く、驚異的な萌芽能力を持つヤナギ類が多く占めており、闇雲に伐採をしても効果は長続きしない場合が多く見られる。[*]水理計算において河畔林は断面内の流れを阻害するものとして扱われ、無機質な存在として一様に見込まれている。実際には、生物である樹木は伐採を含む様々な環境圧を受け成長しているため、その状態は時々刻々と変化している。特に伐採直後の樹木の変化については良く知られていない。河道内樹木の問題を検討するには、水理現象を表す水理計算手法の精度工場と共に樹木の形状変化を把握する必要がある。さらに、洪水の流木化危険性を検討するためにも樹形変化を含む樹木の状態を把握することが必要である。[*]本論文は、石狩川水系豊平川の河畔林で自然環境に配慮し、成長制御を目的として実施した伐採現場から、伐採直後のヤナギの樹形変化に着目した調査を実施した。その結果から、伐採初期に見られたヤナギの萌芽特性を報告するものである。 |