雪冷熱エネルギーの利用は、地方自治体、民間等によってこれまでも検討され一部で実用化されているものの、集雪コストが嵩むことが課題であった。また、利用する場合でも屋外で雪を保存し冷熱エネルギーを利用する方法は技術的に体系化されていないという課題がある。一方、道路除排雪には、札幌市など都市部の雪堆積場の確保が年々困難となり、遠隔地化しているため、排雪ダンプトラックの輸送距離が長くなり、運搬排雪コストが増大しているといった課題がある。これらの課題を雪堆積場の雪を雪冷熱エネルギーとして利用することで、道路排雪の活用及び運搬排雪コストの削減を図るため雪堆積場の雪冷熱利用技術について検討し、平成25年度は美唄市で実証実験を行った。実証実験において、採熱箇所を雪山の下面又は表面とする方式を検討した。雪山の下面に採熱管を設置し、雪及び融解水から採熱管を介した冷媒(水、空気)へ熱交換を行うことで採熱する雪山下面方式は、安定して採熱できることを確認した。雪山の表面に採熱管を設置し、雪により冷やされた空気を取得することで採熱する雪山表面方式は、採熱は可能であったが、採熱量当たりの融解量が多く、より効率的に採熱するための検討が必要であることがわかった。
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