気候変動や土地利用が流域・沿岸域環境に及ぼす影響を評価する上で、水・土砂・栄養塩の流出予測は重要である。米国の農地流域を対象としたSWAT(Soil and Water Assessment Tool)は、水循環、土壌侵食、栄養塩等の動態を再現、予測する流域総合評価モデルでありデータの編集や計算をGISで扱うことができる。近年、日本では地形・気象・水文データのみならず土壌データの公開が進みつつあり、農地・森林の土壌データを統合できれば森林流域においてもSWATを適用できる可能性がある。本研究では、様々な土壌調査資料からSWAT用土壌データベースを作成し、鵡川・沙流川流域の日流量の再現を試みた。ここでは20万分の1土地分類基本調査(土壌図)「北海道」の土壌区分(属性2レベル)ごとに、国有林(林野土壌調査報告)、道・民有林(森林土壌情報データベース-北海道・民有林)及び農地(地力保全土壌図データ)の土壌区分を対応させた。土壌調査データの適用範囲は、GISを用いて土壌区分ごとにティーセン法でポリゴンレイヤを作成し決定した。鵡川・沙流川の日流量(2010~2012年)を再現したところ、Nash-Sutcliffe効率で0.73及び0.79と比較的高い再現性が得ることができた。 |