道路防雪林は,道路の風上側または両側に林帯を造成し,風速を減じさせ吹雪による視程障害や吹きだまりを緩和する防雪施設である.道路防雪林の造成は1977 年に一般国道12号(北海道岩見沢市)で始まり,北海道の国道における総延長は約90km におよぶ,初期に造成された防雪林には,樹高が15mに達するものもある.
防雪林の育成管理においては,下枝の枯れ上がりを防ぐため,樹木の生長に応じた密度管理(間引き)が必要である[*]が,間引きにより防雪林の防雪機能は一時的に低下する[*].このため冬期道路交通環境を維持する上で防雪機能の低下を抑えた間引き管理を行う必要がある.道路防雪林に関する研究としては,防雪林の成長過程を現地調査により明らかにした上田ら[**]の報告や防雪林の成長不良とその要因について調査した下道ら[*]や上田[*]らの報告がある.また,防雪機能を低下させる下枝の枯れ上がりについては,阿部ら[*]の報告がある.
防雪林の防雪機能に関する現地観測は伊東ら[**]や櫻井ら[*]により行われているものの,風洞実験を用い,防雪林の樹木密度,構成林帯の樹種,形状および配置を変化させた防雪効果に関して実験的環境での検討事例は少ない[***],間引き管理を検討するための基礎的情報である枝下の枯れ上がりや,間引き方法と防雪機能との関係は定量的に明らかにされていない.
そこで,防雪林の樹高,枝下高,間引き方法(行間引き,千鳥間引き)及び風向変化による防雪機能への影響を把握することを目的に模型防雪林による風洞実験を行った. |