北海道江別市の搾乳牛約200頭の町村牧場のバイオガスプラントで糞尿の性状変化とエネルギー収支を観測した。①発酵槽の温度は冬場で32-33℃に低下した期間以外はは37-38℃に維持された。②発酵に伴い、揮発性脂肪酸(VFA)、灼熱損失及び乾物率は低下し、pHは上昇し、有機体窒素の無機化が進行した。③消化液の平均値はpH:7.6、乾物率:5.2%、有機物含量 3.9%、VFA:600mgL-1であった。④バイオガス中のメタンガス濃度は冬場に低下したが、それ以外は58-60%であった。⑤軽油併給コジェネレータに供給された全エネルギーに占める軽油の割合は10-60%、平均19%で、消費エネルギーの8割がバイオガスによるものであった。⑥全発電量はバイオガスプラントでの消費電力量の9倍であった。⑧11月中旬から3月末までの冬季で、37万2千MJの軽油を消費し、これと消費電力量をさらに20万7千MJ上回る余剰電力量が得られた。⑨発生エネルギーの約50%が電力、40-45%が発酵槽の加温、5-10%が損失エネルギーであった。⑩以上より、北海道の寒冷な冬季間で比較的小規模なバイオガスプラントにおいても、稼動のための投入エネルギーを上回るエネルギーが得られることが明らかとなった。 |