豊浜トンネル崩落事故、および第2白糸トンネル崩落事故における、各事故原因究明のために設置された調査委員会の報告書によると、共通した事故原因の一つに岩体の自重と浸透水圧、凍結圧などによる亀裂の進展が指摘されている。北海道の日本海沿岸にある多くの急崖斜面は、溶岩が水中で急激に冷やされてできた水冷破砕岩で構成されている。水冷破砕岩は、亀裂が少なく均質ながらも脆さを有した岩盤と言われている。このような急崖斜面では、なんらかの要因で亀裂が進展すると、斜面背面に潜在する亀裂が拡大して連結し、比較的大規模な崩落に発展する可能性がある。このことから、亀裂の進展機構を岩盤力学的観点から研究することが重要である。本研究では、遠心力装置を用いて積雪寒冷地における大規模岩盤崩落の原因の一つである、亀裂進展の機構解明に関する遠心力載荷実験を実施している。これまでの研究では、位置を固定した切欠きを有する模型供試体の自重破壊実験、および切欠き内に水圧を作用させての破壊実験を行い、その結果をFEMおよび極限つりあい法により解析した。ここでは、切欠き位置を変化させた供試体を用いて遠心力による自重破壊実験を行うとともに、その実験条件を考慮した極限つりあい式を導いて、それぞれの値を比較することにより適合性と問題点を検討したので報告する。 |