北海道のような積雪寒冷地のトンネルにおいては、地山の凍上による覆工の変状など、いわゆる凍害を受けることがあり、維持管理上の問題となっている。近年の新設トンネルの施工にあたっては、覆工背面の凍結防止のために発泡ウレタン断熱材が施工されている。しかし、現在使用されている代替フロン(HCFC-141b)も地球温暖化の面から2003年末までに発泡材分野での使用禁止が決定されている。よって、発泡ウレタンに代わり環境に良く、柔軟性・防水性・断熱性に優れた新しいタイプの断材料の開発が求められている。 そこで、フロンを使わない新しいタイプのアスファルト系材料を用いたトンネル断熱材について着目した。本文では、トンネルのモデル実験装置を用いて行ったアスファルト系断熱材の有無によるトンネル内部への影響結果と、そこから導かれる応力緩和特性としての評価を報告する。今回の実験で確認できた主な点は、①アスファルト系断熱材の透水係数は10の-9乗オーダーであり、既存材料の1/100程度。②アスファルト系断熱材の熱伝導率係数はウレタンタイプの4倍程度。③仮想トンネル覆工管にかかる荷重は、アスファルト系断熱材に作用し時間とともに負荷が増加し、正面側の横ひずみは材料の厚みに比例して、反対側(背面側)に広がっていた。(縦ひずみは反対側に広がらなかった。) |