近年,高規格幹線道路事業の促進により冬期にまたがる大規模工事が増加している。一方,河川堤防の樋門及び樋管工事では,経済性や安全性で有利である冬期間に行なわれるのが一般的であるために,それに付随した盛土も冬期施工となる。しかし北海道のように冬期の気象条件が厳しい環境下で行なう盛土では,満足できる品質が確保されていない事例が多い。この原因として盛土材料に凍結土が含まれると締固めが十分出来ないこともその一つと考えられる。[*] 本研究の目的は,冬期土工における盛土の品質向上に向けて,施工性,経済性に優れた工法を検討することである。[*]そこで、施工時期の違い,及び土質の違いによる冬期盛土の品質を比較するために,苫小牧の施工試験フィールドで実大盛土実験を行った結果,以下のことが明らかになった。[*]1)凍結土を混入させた盛土では,長期間にわたり凍結土が盛土内に残存し,それが融解することで変形量が増加する[*]ため,凍結土の混入は望ましくない。[*]2)凍結土を排除することで,締固め度の低下を防ぎ,また盛土の変形をかなり抑えることが可能である。[*]3)粗粒分の割合が多い土質では,冬期土工に比較的有利である。 |