今まで防雪柵・防雪林による車両の走行挙動という視点では、防雪対策整備効果に関する研究は行われていない。そこで防雪柵整備前後で冬期気象と交通状況データを観測し、走行挙動の視点で防雪柵の整備 効果について検討した。視程と走行速度の関係については、視程200m以下の吹雪において視程の対数値と車速に直線関係がみられ、視程の低下に伴い車速は減少する。事故直前では視程低下に伴い走行速度が30㎞/h以下に減速し、同時に大幅に短い車間距離で走行するようになりその距離も視程値にほぼ一致した。これより前方車を視界内ギリギリに追従する傾向が強まり、多重衝突事故の危険性が高まることが解る。防雪柵整備前後の視程と平均車速及び標準偏差の関係については、防雪柵整備後では平均車速が上昇し、走行速度のバラツキを示す標準偏差は低下していた。また防雪柵整備前後の交通量と車間距離の間にべき乗回帰を仮定し、回帰曲線の変化を検討した。結果、整備前においては車間距離が冬期平均に対して吹雪時の4割程度減少しているのに対し、整備後は車間距離の減少幅が2割程度にまで改善していた。よって、整備効果として車速や車間距離が改善され、交通安全に寄与すると考えられる。 |