消波ブロック被覆堤は、我が国の主流防波堤のひとつであるが、砂地盤上に消波ブロック被覆堤を建設した後に比較的大きな波浪が来襲すると、消波ブロックの沈下が生じる場合のあることが経験的に知られている。その原因については種々考えられているが、主として消波ブロックのり先の砂地盤の洗掘が主要因と考えられてきた。これは、消波ブロックで被覆されていない直立型の防波堤におけるLタイプ洗掘1)の延長線上で考えられてきたためであり、対策工としても直立型防波堤と同様の工法が採用されてきた。 最近になって、北海道の港湾において消波ブロック被覆堤の顕著な沈下被災が相次いで発生した2)。特に平成12年に発生した事例は、延長約170mにわたって消波ブロックのみならず本体ケーソンが最大約1.5m沈下する大規模な被害であった3)。 最近の研究により、このような消波ブロック被覆堤の沈下現象が、捨石マウンド下面からの砂地盤の吸い出しが主な原因で生じていることが明らかになってきている4)5)。また、砂地盤の吸い出し発生限界条件や吸い出し量の推定を、VOF法を用いた数値計算プログラム(CADMAS-SURF)6)により検討する試みもされている2)7)。本手法では、消波ブロックや捨石マウンドを多孔質体として取り扱っているが、抗力係数CDや慣性力係数CMの設定値については明確にはなっていない。 本研究では、任意波形を発生可能な大型振動流発生装置を用いて、砕石等の多孔質体の抗力や慣性力について調べるとともに、砕石下面に硅砂を用いて吸い出し現象を再現し、吸い出し発生条件について検討した。 |