港湾や漁港内においては外郭施設や係留施設の整備を進めてきた。港内の静穏度が向上し、荷役作業等の安全性を高めた一方で閉鎖性も高くなり、水質の悪化や港内結氷等が問題となってきた。こうした問題への対策として、これまで多くの海水交換型防波堤が開発されてきた。堤体に導水孔を設けた有孔堤やこの有孔堤前面に潜堤を設置した二重堤などがある。しかし、波浪力だけでは十分な海水交換がなされない場合がある他、開口率の増加に伴い港内への波高伝達率が増加し港内静穏度を低下させてしまう場合がある。筆者らは温度差エネルギーを利用した水素吸蔵合金活用型海水交換装置の開発1),2)を進めており海水交換部でスパイラル型スクリューを採用している。その利点としては、波高伝達率を低く抑え海水交換が可能であることがあげられる。また、スパイラル型スクリューは、船舶で使用されているプロペラ型スクリューなど、強力な推進力を得るための形状と比較するとエネルギー効率が良いとされている。現在筆者らが開発している水素吸蔵合金活用型海水交換装置は微弱な自然エネルギーを利用した機構であり、スパイラル型スクリューは本装置に適していると思われる。 本報告は、スパイラル型スクリューを用いた海水交換特性について、水理模型実験によって明らかにするものである |