近年、地すべり管理や斜面防災等にGPS観測が用いられる機会が増えており、これらの観測では、防災対策上、地すべり活動が活発化した場合、あるいは突発的な事象等への対応を迅速に行うため、斜面状況を常時把握し、斜面変状の発生やその予兆をリアルタイムに捉えることが可能な計測手法が求められている。RTK-GPSは、通信設備を利用して受信データを観測点相互で送受信し、基線解析をリアルタイムに行う観測手法である。測定精度は静止測量よりも劣るが、即時性に優れている。本報告は、斜面防災等の観測におけるGPSの適用性を確認する目的で実施したRTKによる移動体の観測結果について述べたものである。RTK測定値は、±10~20㎜程度の幅に大きく分散するものの、その度数分布は±1㎜の範囲に40%、±3㎜までの範囲に80%、±5㎜までの範囲に93%が集中しており、移動点の移動挙動をほぼ的確に捉えていることが分かった。以上、RTK観測では、短時間で多くの測定結果が得られるため、中には大きく分散する測定値も出現するが、その多くは正確な位置を精度良く捉えていることを確認できた。このことから、RTK測定データを適切に処理することで、より正確な測定結果を取得することも可能と考えられる。 |