北海道のような積雪寒冷地のトンネルにおいては、地山の凍上による覆工の変状など、いわゆる凍害を受けることがあり、維持管理上の問題となっている。従来より施工されてきた、トンネル覆工背面の凍結防止のための発泡ウレタン系断熱材が、フロン対策のため近い将来使用できなくなるため、我々はフロンを使わない新しいタイプのアスファルト系断熱材を開発した。この素材はすでに実トンネルでの舗装下の断熱材として使用されているが、本文では、この材料による応力緩和特性について、室内のモデル実験装置を用いて検討した結果について報告するものである。今回の実験により下記のことなどが確認できた。1)透水係数は10-9オーダーであり、今までの材料と比較すると100倍程度小さくなった値であった。2)熱伝導率はウレタンタイプの4倍程度大きい値であったが、断熱材分野での使用には効果的である。3)覆工管にかかる荷重は、アスファルト系断熱材に作用し、時間とともに負荷が増加し、正面側の横ひずみは材料の厚みに比例して、反対側(背面側)に広がっていた。アスファルト系断熱材は素晴らしい応力緩和特性を持っており、優れた防水性を保つ必要のある箇所の適用において、この新しい材料は裏込材として十分役立つようになるだろうと考える。 |