石炭火力発電所からは多量の石炭灰が発生し、その量は年々増加傾向にある。この石炭灰については、現在、土木材料への利用実績が増加傾向にあるが、まだ多くの石炭灰が埋め立て処分されていることから、有効利用の余地はかなりあると思われる。また石炭灰に関しては、地盤材料としての利用は未開発な面がかなり多く、今後の技術開発による有効利用の拡大が期待されている。石炭灰を地盤材料として用いる場合には、粉体であるために飛散しやすく、現場周辺の環境や作業従事者の健康の面で問題がある上、石炭の産地や燃焼ボイラにより性状、性質に違いがあることは知られており、取り扱いが難しい。飛散抑制対策としては石炭灰を加工する方法や石炭灰プラントを用いる方法もあるがコスト高となるため、今後の更なる開発、対策が急務である。そこで本研究では石炭灰の飛散抑制方法として、石炭灰に少量の水を加えることにより飛散を抑えることを試みた(加水石炭灰)。また同時にその加水石炭灰の不良土改良効果について調べ、加水石炭灰の地盤材料としての利用可能性を検討した。 一連の試験結果から、飛散抑制のある最低水分量(重量比5%)を石炭灰に加えれば、飛散は抑制され、かつ室内試験において不良土改良効果があることが確認できた。 |