積雪寒冷地における環境・資源循環プロジェクトにおいてバイオガスプラントのエネルギー収支を調査する目的は、第一に、発生するバイオガスをエネルギーに変換するガス発電機及びガスボイラーの効率的な運転方法を提示することである。具体的には、発生バイオガスの配分割合を変えることで、化石エネルギー消費を最小化する運転方法や光熱費(重油代+電気代+その他の維持管理費)を最小化する運転方法を示すことである。第二に、積雪寒冷地で新たにバイオガスプラントの建設を計画する場合のために設計上の有用なデータを提供することである。本報告では、湧別資源循環試験施設において2003 年夏に得られたエネルギー収支について報告する。電力収支は、平日稼働時の電力消費量の最も大きい機器類は、施設内へ温水を循環させるために終日稼働している温水・冷却水循環ポンプであった。次に大きいものは、発酵槽への原料投入や、発酵後の消化液移送に必要なスラリー移送ポンプ類であった。これらポンプ類で、一日の電力消費量の57%を占めていた。熱収支は、発酵後の消化液を殺菌槽で70℃・1時間以上保持した場合、殺菌過程での消費熱量は1、744MJ・d-1であった。殺菌温度を65℃・1.5 時間以上保持させた場合では、。殺菌過程での消費熱量は1、303MJ・d-1 であり、70℃・1 時間以上の殺菌条件での消費熱量より約400MJ 減少した。 |