| 積雪寒冷地域では、冬期間における凍結路面の発生を防止するため、凍結防止剤の散布は欠かせないものである。特に、1990年の「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」が施行された後は、散布量が急激に増加し、北海道の国道を管理している北海道開発局における散布量は約56、000t(2002年度)となった。 凍結防止剤には様々な種類があるが、凍結防止効果が高く経済性に優れる塩化ナトリウムの使用実績は多く、北海道開発局の冬期路面管理マニュアル(案)でも、基本的に塩化ナトリウムを使用する事となっている。一般的に塩化ナトリウムは、その運搬や散布時の積み込み等の容易さからフレキシブルコンテナに梱包し、事務所や除雪ステーション等の薬剤庫や倉庫に保管されているが、保管中の塩化ナトリウムが固結し、散布作業の障害となることがある。この原因として、塩化ナトリウムの含水率、保管倉庫の温度、またフレキシブルコンテナを2段・3段と積み重ねるため、載荷重が影響しているものと考えられる。 そこで、塩化ナトリウムの保管時における、固結発生の条件と、その対策を明らかにするため、室内低温施設と、実際の保管倉庫において試験を行った。その結果、塩化ナトリウムの固結は、0℃よりも低い温度の下で、0.5%以上の含水比がある場合に発生することが明らかとなった。次に、吸湿効果のある塩化カルシウムを塩化ナトリウムに混合し、含水比を小さく保つことによって、塩化ナトリウムの固結を防止する方法について試験を行った。その結果、この方法は厳寒地域において作業性と散布効果の双方を確保することが出来る有効な方法であることが明らかとなった。 |