| 交通流ミクロシミュレーションは、道路網や交差点等を対象とし、新たな交通運用施策や道路施設整備の導入を検討する際、その導入効果や現況道路交通への影響を効率的に把握する手法として、最近利用されてきている。シミュレーション結果は、パソコン画像を通じて視覚的かつ分かりやすいアウトプットが得られることが特徴である。 これにより、対外的な説明場面での利用、例えば一般市民に対し分かりやすく伝えることができるので、交通計画における合意形成手法(PI : Public Involvement)を適用する際のツールの一つとして広く活用されること等が期待されている。積雪寒冷地の北海道においては、道路交通分野の重要課題の一つが冬期間に円滑な交通流を確保することである。札幌市では年間降雪量がおよそ5mにも及んでおり、すべりやすい雪氷路面の出現や 堆雪に伴う有効道路幅員の減少等がもたらされている。その結果、交通渋滞の発生が著しくなっており、一般市民からは、これを改善するために、冬期道路管理水準を常に一定以上に確保する施策の推進等が求められている。筆者らは、札幌市都市圏の道路網を対象とし、交通流ミクロシミュレーションにより冬期道路交通流の現況の再現を試行した。本報告では、シミュレーションによる同再現結果、冬期道路交通の評価及び今後の展開について述べる。 |