高炉セメントが用いられたコンクリートは、塩化物イオンの浸透抑制、アルカリ骨材反応の抑制、水密性、化学抵抗性の向上に対して比較的有効とされ、コンクリート構造物の耐久性向上やライフサイクルコストの縮減効果が期待される。さらには、スラグのリサイクルによる環境負荷低減に対する貢献性も有する。[*] 北海道の構造物は、塩害と凍害との複合劣化の影響を受けやすい過酷な環境下に曝されることから、耐塩害性に加え、耐凍害性も強く要求される。高炉セメントを用いると、コンクリート全体の耐凍害性の向上に対して有効である反面、コンクリート表面の耐凍害性は低下しやすいとされ1)、凍結防止剤や海水との複合作用によるスケーリングの発生が懸念されるが、表面の耐凍害性が低下しやすい原因については、未だ明らかに整理されていない。高炉セメントは、耐久性や環境面の観点から需要、実績の増加が将来的に予想されることから、寒冷地における課題の一つであるコンクリートの表面の耐凍害性の改善技術の確立が求められる。[*] そこで、本研究ではコンクリート表面の耐凍害性改善に向けた検討を行うための資料を得ることを目的とし、表面の耐凍害性が低下する原因について検討した。 |