北海道南西日本海沿岸で磯焼けが進行する中、石狩湾東岸の岩礁地帯では海藻群落が維持されている。当海域の藻場形成要因として石狩川河川水が果たす役割を検討するため、海藻及び植食動物分布、水質等環境調査を行った結果を報告する。 2002年6月、2003年2・6月に石狩湾東岸岩礁域に距岸0~200mの8測線(St.L1~L8:河口から約10~55km)を設け、水深0.5m毎に海藻量と大型底生動物量を調べた。また、このうち4地点で水質や光環境調査を継続的に行った。 河口に近いL1~L4では浅部でホソメコンブ、深部でスガモが優占する帯状分布の、L5以北ではホソメコンブ優占の藻場が形成されていた。L6以北ではワカメ・スジメの出現がみられた。L1での海藻繁茂水深は3.5m以浅、L8では6.5m以浅であった。光量子の消散係数はL1で0.34、L8で0.22と1.5倍の差があり、河口近くでは河川由来の懸濁物が光透過を阻害する要因となっていた。L8を除きしばしば32psu以下の低塩分傾向がみられ、全測線でウニ・アワビ類の出現も少なく、低塩分が藻場への植食動物の侵入を防ぐ要因の一つと考えられた。栄養塩供給は、窒素が河川水出水に、リンは冬季の鉛直混合に依存し、窒素は出水期の表層部を除いて、リンは成層期に藻場全域で枯渇する傾向を示した。 |