土の凍上現象は、土質、水の供給、気象条件の3要素が兼ね備わったときに顕著に発生する。土の室内凍上試験は、水の供給およびある温度条件の下での土の凍上性を示してくれるが、自然状態における地盤の凍上性状まで示すものではない。そこで、将来的に自然状態における土の凍上量予測を行うことを目標に、自然状態における土の凍上性に関する基礎資料を蓄積するべく、試験土漕に盛土地盤をつくり、3種類の土質のおいて地下水位の違いが凍上量、凍上圧にどのように反映するかを3箇年にわたり調査した。[*] しかし、3箇年の気温(凍結指数)変動が大きく、必ずしも地下水位の影響を把握するには至らなかった。そこで、統一した条件下でのデータ蓄積の必要性から、新たに単一土質おける地下水位と気温の違いによる凍上量、凍上圧への影響を3箇年の継続調査により調査することとした。本文は、新規3箇年の継続調査初年度の結果と、過去3箇年調査とりまとめとを比較する形で、その概要を報告するものである。[*] 3箇年の初年度ではあるが、過去のデータから比較すると、以下のことがわかった。[*] 1)2003-2004年は暖冬だったこともあり、地下水位による凍結深の変化は見られなかった。[*] 2)地下水位による凍上量の変化が見られ、GL-1.0mでは明らかに低い値となった。[*] 3)凍上圧は、日平均気温が連続して0℃を下回ることにより、増大していく。諸条件により発生要因を推察できるものの、最大値には大きな開きがある。 |