当研究所では、気象条件の厳しい北海道における家畜ふん尿の適切な処理と利用に関して、共同利用型のバイオガスプラントを別海町と湧別町に建設し、その施設を中心とした実証研究「積雪寒冷地における環境・資源循環プロジェクト」を実施している。本プロジェクトにおいて建設された別海資源循環試験施設(以下、別海プラントと呼ぶ)では、乳牛ふん尿を主原料としたメタン発酵により、再生可能なエネルギーとして近年注目されているバイオガスを発生させ、このガスによって化石燃料に依存しない電気等を生成している。別海プラントは2001年5月から稼働を開始し、本プロジェクト2005は年3月で完了する予定である。別海プラントのエネルギー収支については過去いくつかの報告によってデータを提供した。このように、本プロジェクトにおいてエネルギー収支を調査する目的は、現在の別海プラントにおけるエネルギー収支状況を把握し、今後のバイオガスプラント建設時の参考となるよう、エネルギーの効率化を図る試案を提示することにある。本報告は別海プラントにおける3年半のバイオガスの発生状況と電力収支の状況を総括し、電力収支の改善対策を提案するものである。 |