1997年12月、気候変動枠組条約第3回締約国会議において採択された「京都議定書」において、我が国は2010年までにCO2排出量を1990年比で6%削減することを求められた。京都議定書は2005年2月16日に発効することが決まり、批准国として議定書の規定を履行する義務が生じる。[*]我が国では、2001年においてCO2総排出量は約12.1億tであり、運輸部門はその22.0%を占めている。その内物流が占めるシェアは運輸部門の3割を超えている。また経済産業省と国土交通省は、物流の効率化、CO2排出量削減促進を目的とする「流通・物流効率化法」(仮称)の制定を検討している。以上のことから、今後は環境問題を意識した輸送形態の構築が求められる。その際、例えばトラックから海運・鉄道に転換する「モーダルシフト」が有効となる。2002年より国土交通省では「環境負荷の小さい物流形態の構築を目指す実証実験」を実施しており、モーダルシフト施策を推進している。[*]一方、北海道に眼を向けると、我が国で唯一他県と道路で繋がっていない地域であり、移出入の際には海運・鉄道に依存せざるを得ない。従って、北海道~本州間の物流は全量がモーダルシフトを達成しているといえる。しかし、北海道内の輸送は、トラックに大きく依存している。このため、環境問題、労働力不足、冬期間の輸送障害、リダンダンシー等の面で問題を抱えている。[*]そこで本研究の目的は、北海道内の貨物輸送の鉄道へのモーダルシフト戦略を検討することである。具体的には、1)モーダルシフトに対する取り組みをヒアリングより明らかにし、2)苫小牧港経由の物流ルートをケーススタディーとして、輸送コスト、CO2排出量の面から、輸送モードの転換可能性を検討する。 |