| 氷海域に設置される構造物、特にアスペクト比(構造物の幅と氷厚との比)の小さな構造物、海底パイプラインなどの建造、それに船舶航行等には、海氷との干渉・相互作用を十分考慮しなければならない。また、北東サハリン大陸棚の石油・天然ガス開発が本格化しており、冬期に海氷が存在する北海道オホーツク海における万一の油の流出・漂流に備えた油の拡がり・漂流予測および効率的な回収方法の確立が急務となっている。このような場合、海氷/流氷の移動特性、大きさ、その下面(底面)形状などの氷象条件が重要な判断材料、入力情報となる。このような背景から、著者等は、2000年度より、北海道オホーツク海沿岸において、ADCP(Acoustic Doppler Current Profiler) とIPS (Ice Profiling Sonar、氷厚計)を用いて、海氷の移動速度、喫水深などの調査を実施し、それらの海氷データの定量分析1)2)3)4)や、実用的な海氷の下面形状(凹凸)のシミュレーション手法の提案などを行ってきた5)。著者らの当面の主な目標は、蓄積されたデータから、上記の海氷データの統計分布を明らかにするとともに、膨大なデータから集約された僅かな統計量を用いることによって、本来複雑な海氷の喫水深または下面凹凸をシミュレートすることのできる汎用的手法を開発し、上記の技術課題へフィードバックすることである。本報告では引き続き2004年(2003年度)に得られた海氷データ(海氷の移動特性、喫水深、下面凹凸など)の海氷下面の形状(凹凸)等の定量分析を行うとともに、過去に取得した海氷データ解析結果と比較し、更新された知見を報告する事を主な目的としている。 |