北海道東部の標津川において旧河道を利用した蛇行河川復元の検討が進められており、今後、本格的な事業着手に向けて分岐・合流などの複雑な水理現象が伴う蛇行復元河道の復元手法の確認・課題抽出が必要となっている。このため、当研究所では事業予定区間の1/25スケールの大型模型実験(移動床)の準備を進めている。標津川の旧川を用いて試験的に接続された現地試験地では河床上に形成される砂州によって流れが支配されて河岸浸食が進行するなど、検討対象となる蛇行河道は中規模河床形態が支配的な流況になると予想される。このため、現地の現象を再現するため、川幅B/水深Hを考慮すると、できる限り無歪み模型とする必要がある。しかし、水理模型実験に広く使用されている珪砂や洗い砂を河床材料として用いた場合、その比重から上記実験条件では実験に大きな支障となるRippleが形成されてしまう。その改善のために河床材料の平均粒径を小さくした場合でも粒径0.2mm以下の場合、材料の粘着性の影響を受け、非常に浸食しづらい状況となる。[*] このため、河床材料粒径を小さくする代わりに、軽量の河床材料を用いることで上記の不都合の改善を計ることとし、これに適合する新たな河床材料を選定して前述の実験への適合性とその性状を確認する必要が生じた。[*] 試験材料の選定において、珪砂よりも軽い比重という点では石炭粉も選考対象としたが、近年は均一の材料を安定して入手するのは困難となり、通水により流水の汚濁(油浮き)等も発生するため、下水汚泥焼却灰を粒度調整等したものが最も優位であり、小型水路模型等を用いた検証からも、当材料が緩勾配、浅水深の模型実験において発生しやすいRipple対策、相似条件の改善に有効であることが判った。[*]次にこの材料の実験での再現性、性状について現地試験地の1/25スケールで再現した移動床実験により河岸浸食の再現の状況確認を行った。この結果、模型実験においても砂州の発達に伴う河岸浸食の傾向が再現できるなど、比較的良好に定量的に現地状況が再現できた。 |