石狩、サロベツ泥炭地は、かつて手つかずの状態で湿原が存在していたが、排水路の整備や客土により農地化が進められてきた。現在、前者は水田、転換畑、また、後者は草地として利用されている。湿原の農地化により、地盤沈下は既に顕在化した問題であるが、泥炭中の有機物分解にともない、温室効果ガスの発生という環境への影響も危惧される。本研究は、土地利用が異なる泥炭地におけるメタン、亜酸化窒素の発生を明らかにすることを目的とした。[*]石狩泥炭地の調査は、北海道農業研究センター美唄試験地の既墾泥炭地圃場、湿原圃場内のササ群落(未墾地)で行った。客土は15cm程度されており、両圃場とも、近年、耕作、施肥がされていない休耕地である。サロベツ泥炭地の調査は、北海道豊富町の草地圃場で行った。草地圃場は10cm程度の客土が行われている。ここ 5年程は農家の利用、施肥管理はされておらず、リードカナリーグラスが繁茂する。ガスフラックスはクローズドチャンバー法で測定した。[*]美唄試験地では、メタンフラックスは客土圃場で多く、亜酸化窒素フラックスは、無客土圃場で多かった。温室効果ガス発生の面から、泥炭圃場の適切な寒地が必要であることが示唆された。 |