河川や湖沼の浚渫工事で発生する土砂は含水比が高く、強度が低いため、そのままの状態では土木材料として使用することができない。近年、環境負荷低減への社会の関心が高くなっていること、廃棄処分できる場所が限られてくることなどから、このような不良な土砂であっても有効利用しなければならない気運にある。[*] 浚渫土砂は、浚渫作業時に河川や湖沼の水と一緒に排出されるため、特に含水比が高い材料である。このため、天日乾燥や強制乾燥などの方法により、十分な強度とするためには時間と費用が大きくなる。また、固化材による改良や寒さを利用した施工技術の紹介があるもののあまり実用的ではない。[*] 一方、地盤が凍結する場合、地表面から冷却されることにより土中の水分を上部に吸い上げながら凍結していく。このとき地盤の下部では水分が上昇することにより、含水比が低下すると予想される。この原理を応用して北海道の冬期の寒冷な気候の下で、高含水比の浚渫土砂の含水比を低下させることができれば、かなり低コストな改良が可能となる。[*] 室内および屋外で高含水比の浚渫土砂を凍結、融解させる実験を行ったところ、含水比を低下させることができた。 |