深礎杭の施工において、 近年の施工の機械化に伴い、 孔壁土留工が従来のライナープレート方式にかわり、 型枠を用いた直打ち方式のモルタルライニング、 および吹付けコンクリートを用いた大口径の新しい土留工法による施工が可能となった. これらの新工法では、 杭体と地盤の密着性が期待できることから、 従来工法では考慮することが困難とされていた鉛直方向の周面摩擦力を設計に取り入れることができ、 これにより杭を縮小できるため大きな建設コスト縮減が得られることとなる.[*]そのため、 国土交通省北海道開発局では深礎杭設計法を旧日本道路公団方式に概ね準じ、 モルタルライニング工法、 吹付けコンクリート工法、 吹付けコンクリート+ロックボルト工法の土留工法に対し、 周面摩擦力を考慮する設計方法を道路設計要領に採用した. しかしながら現状において北海道では、 モルタルライニングまたは吹付けコンクリートを用いた土留工法を採用した施工事例が少なく、 周面摩擦力の発現機構は不明瞭である.[*]そこで、 吹付けコンクリート+ロックボルト工法により施工を行った大口径深礎杭において、 上載荷重の増加に伴う周面摩擦力の長期現場計測を実施し、 設計値と発現周面摩擦力を比較し相違をFEM 解析等により検討し、 同工法の今後の合理的設計施工法の確立に向け本編で整理した. また、 施工管理を目的に深礎杭施工中に経時計測を行った. |