著書らは、動的照査法による免震橋の耐震設計を、より精度良く行うための手法を明示することを目的に、1994年北海道東方沖地震において貴重な強震記録データが得られている温根沼大橋を対象として、地震応答解析上のモデル化方法について検討してきた。その中で、杭基礎に対する周辺地盤の水平抵抗を設計値の1/100倍にした2次元骨組モデルによる地震応答解析で一応の精度が得られることを確認したが、地盤抵抗を低減することの意味が未解明であった。今回、地盤の非線形特性および地盤と構造物との動的相互作用を評価する目的で、周辺地盤を含めた全体系の2次元FEMモデルによる検討を行った。[*]検討の結果、周辺地盤を含めた全体系の2次元FEM地震応答解析によって橋梁各部の実測値と良い一致を示したことから、免震橋の地震時実挙動を精度良く推定するためには、基礎~地盤系の初期剛性のみをS-Rバネで置換するという慣用性な方法ではなく、地盤の非線形特性および動的相互作用を考慮したモデル化が必要といえる。しかし、今回のようなFEMモデルでは計算負荷が大きく(本検討では地震波50秒間で解析時間2日)、耐震設計におけるトライアル計算で用いることは時期早々であるため、今後は、地盤の非線形特性および動的相互作用を簡易に表すことができるペンゼンモデルのようなモデル化で、同様な検討を行う予定である。 |