重金属、揮発性有機化合物等による土壌汚染が顕在化してきたことを背景として、平成15年2月に人為的活動による土壌汚染を対象に「土壌汚染対策法」が施行された。また、これを受けて平成15年7月に自然的原因の重金属による土壌汚染も対象とした「建設工事で遭遇する地盤汚染対応マニュアル(暫定版)」1)が発刊された。しかし、後者は基本的に前者に準拠しており、より実態に即した評価、対策手法の確立が急務となっている。[*]北海道における海成の堆積岩や熱水変質の影響を受けた火山岩等一般的に見られる地質においても、環境基準を超過して有害重金属が溶出したり、酸性水が流出したりする事例が確認されている。これらは、適切な処理を施して汚染の拡散を防止する必要があり、道路建設事業における処理方法としてシート等による遮水対策などが主体となっているが、工事費増嵩の一因となっている。[*]砒素などの重金属類は土壌への吸着効果が大きいため、現地発生土を用いて汚染土を覆土や敷土によってある一定の厚さだけ包み込むことによって、降雨による水の浸透(酸素の侵入)が抑制され、溶出水中の重金属は固相である敷土へ吸着され、溶出濃度の低減が期待される。本実験では、砒素が溶出する岩石を用いて、現地発生土等の覆土による砒素の溶出抑制効果を検討するため、北海道開発局旭川開発建設部管内一般国道450号旭川紋別自動車道上川町中越地区において、覆土による重金属汚染対策工法に関する現場実験の中間成果について報告するものである。 |