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発表 地下水位の調節による湿原植生の保全と復元

作成年度 2007年度
論文名 地下水位の調節による湿原植生の保全と復元
論文名(和訳)
論文副題
発表会 2007年度 新しい河川整備・管理の理念とそれを支援する河川技術に関するシンポジウム
誌名(No./号数) 河川技術論文集第13巻
発表年月日 2007/06/07 ~ 2007/06/08
所属研究室/機関名 著者名(英名)
水環境保全チーム赤岩 孝志(AKAIWA Takashi)
水環境保全チーム山下 彰司(YAMASHITA Shoji)
水環境保全チーム村上 泰啓(MURAKAMI Yasuhiro)
抄録
a)目的[*]北海道北部に位置するサロベツ湿原は高層湿原を主とした湿原であり、ミズゴケ、モウセンゴケやヨシなどの湿原性の植物がみられ、貴重な自然環境を有している。しかし数十年に渡る周辺開発の影響により、湿原周辺域の地下水位が低下し、湿原の乾燥化に伴うササ植生の侵入が懸案となっている。[*]本文では、乾燥化によりササが侵入した湿原周辺部で排水路の人為的に地下水位を高く維持した試験くで、ササ植生の生長が抑制されるかを調査するとともに、すでに根付いたササをすきとる(薄く削り取る)ことにより、湿原植生の復元可能性を検討した結果を報告する。[*]b)内容[*]サロベツ湿原周辺部に位置する上サロベツ地区の圃場に隣接するササ地を実験区域とした。この試験区の周囲の排水路水位を堰上げし、地下水位を高く維持した。試験区内の地下水位が異なると思われる4地点に地下水観測孔を設置して、地下水位を2006年5月28日から2006年10月31日まで連続観測し、同時に地下水観測孔と排水路の堰上げ直上流部で3度の採水・水質分析を行った。また、地下水観測孔の周辺で2m四方の調査区を設定し、2006年5月から2006年10月まで、月末に1回の頻度でササの生育調査を行った。さらに、2006年5月に地下水位の最も高い観測孔と最も低い観測孔の北側に10m四方の面積を確保して、ササを含む表土をすきとり、すきとった後の裸地に生育してくる植生を夏季と秋季の2度にわたり調査した。[*]c)成果[*]1)ササの活性を調査した結果、地下水位の高い地点では他の地点より葉面積指数が小さかった。また、調査開始後に新たに生育したササでは草丈・葉数・葉長のいずれでも地下水位の高い地点の数値が小さく、地下水位を高く維持することがササの活性、とくに初期の生育を抑制している可能性が示唆された。[*]2)地下水位の高い地点と低い地点ですきとりを行った結果、両地点とも湿生植物のヨシを中心に植生が生育し、湿原植生の復元可能性が示唆された。また、すきとり箇所の植生被覆率は低地下水位地点で約35%、高地下水位地点で約70%であり、成育した湿性植物の種類数は低地下水位点で5種類、高地下水位点で10種類が観測され、高地下水位地点の方がより湿原植生が復元する可能性が示唆された。
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