| 毎冬，北海道オホーツク海に流氷が来襲し，様々な被害を及ぼしている．我が国においては，特に漁業被害や海上交通などに与える影響が大きいのが特徴であり，岩礁地帯を海氷から防御するため，枝幸町や雄武町などの海岸に鋼管製の防氷柵が設置されている他，サロマ湖では，湖内への流氷流入によるホタテなどの養殖施設の被害を防止するために湖口部に防氷施設（アイスブーム）が設置されている．今後も能取湖口など沿岸部でのアイスブームの設置が計画されている．アイスブームに作用する氷荷重（氷力）は，風や流れによる抗力である環境荷重で評価される場合が多い．この氷荷重を推算するためには，流況・氷象条件等の把握はもちろん，それらの観測値を用いた実用的な氷下の凹凸や流れの状態と抗力係数との明確な対応関係が必要である．[*] 本研究では，サロマ湖口（第2）や能取湖口のように航路部分が比較的長く水路と見なされるところにアイスブームが設置される場合について，境界層厚を理論的に求めるとともに，その境界層厚の概念から，断面平均流速を用いた平均抗力係数や粗度係数などの実用的な算定法を提案した．また，境界層厚を介し，粗度と粗度係数との対応関係，海底粗度を考慮した合成粗度係数を導いた．さらに，様々な条件において境界層厚，抗力係数，粗度係数そして氷力などを試算し，それらの性質を調べた． |
