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論文投稿 地下水位コントロールによる湿原植生の保全・復元について

作成年度 2007年度
論文名 地下水位コントロールによる湿原植生の保全・復元について
論文名(和訳)
論文副題
発表会 平成19年度 国土交通省国土技術研究会
誌名(No./号数)
発表年月日 2007/10/16 ~ 2007/10/17
所属研究室/機関名 著者名(英名)
水環境保全チーム赤岩 孝志(AKAIWA Takashi)
抄録
a)目的[*]北海道北部のサロベツ湿原は高層湿原を主とした湿原域であり、ミズゴケやモウセンゴケなどの湿原性の植物がみられ、貴重な自然環境を有している。しかし近年、湿原周辺の地下水位の低下や水文条件の変化等により、湿原の乾燥化がすすみ、ササ植生の侵入等が課題となっている。[*]過去の研究から、河川水位を堰上げすることで流域内の地下水位を回復できる可能性がシミュレーションで示され、さらに、湿原域と土地利用域の境界域で地下水位をコントロールすることで湿原域の復元可能性が示唆されている。[*]ここでは、水路の堰上げによって地下水位が高く維持されている区域で、侵入しているササの活性が抑制されるか調査するとともに、直接ササを除去することにより湿原植生の復元可能性を検討した結果を報告する。[*]b)内容[*]上サロベツ地区に位置する圃場に隣接するササ地を実験区域とした。この実験区域は隣接する排水路の水位が堰上げされており、地下水位は高く維持されていると考えられる。地下水位が異なる4地点に地下水観測孔を設置して地下水位を5月28日から10月31日まで連続観測し、同時に地下水観測孔と排水路の堰上げ直上流部で3度の採水・水質分析を行った。また、地下水観測孔の周辺で2m四方の面積を確保し5月から10月まで、月末に1回の頻度でササの生育調査を行った。さらに、地下水位観測の結果、地下水位の異なった2地点の北側で10m四方の面積を確保してササを含む表土をすきとり、裸地に再生する植生の復元状況を夏季と秋季の2度にわたり調査した。[*]c)成果[*]1)地下水中の有機物濃度は、堰上げされた排水路からの距離が遠くなるに従い減少する傾向があり、排水路の堰上げによって実験区域の地下水に影響が与えられていると判断できた。[*]2)ササ活性を調査した結果、地下水位の高い地点で他の地点より葉面積指数が小さかった。また、調査開始後に新たに発生したササでは草丈・葉数・葉長でも地下水位の高い地点で値が小さく、高い地下水位がササの活性、とくに初期の生育を抑制している可能性があるとわかった。[*]3)地下水位の高い地点と低い地点ですきとりを行った結果、両地点とも湿生植物のヨシを中心に植生が再生し、湿原植生の復元可能性が示唆された。また、被覆率では低地下水位点で35%、高地下水位点で70%、湿生植物の種類数では低地下水位点で5種類、高地下水位点で10種類と違いがみられた。
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