| 国産生乳の4割強を生産する北海道では1960年以降、乳牛飼養頭数の増加と戸数の減少が進んだ。その結果、労力不足による乳牛ふん尿の不適切な貯留による環境負荷が懸念されるようになった。この他に、食品加工残滓やし尿処理汚泥等の各種有機性廃棄物も焼却処理や埋立て処理されており、地域バイオマスの活用がなされていない。このため、乳牛ふん尿やその他の地域バイオマスの循環利用による環境負荷の防止が必要となっている。[*] デンマークやドイツなどでは、家畜ふん尿を主原料として嫌気発酵させ、液肥の製造と再生可能エネルギー産出のためにバイオガスプラントが活用されている。しかし、前述の国々と北海道とでは、気候条件や乳牛の飼養形態の違い等が大きく、北海道でバイオガスプラントを普及させるにはこれらの条件の違いに適応させるための技術開発が必要である。[*] このような背景の中、(独)土木研究所寒地土木研究所は北海道東部の別海町に共同利用型バイオガスプラント(以下、別海プラント)を建設し、国土交通省北海道局、北海道農業研究センター、北海道立農業・畜産試験場、別海町、JA別海、地元廃棄物処理業者等の協力を得ながら、乳牛ふん尿だけでなく、地域で発生するその他のバイオマスを循環利用(図1)する実証研究を行ってきた。そこで、本研究で得られた成果について述べた。 |