衝撃載荷時に曲げ破壊が卓越する大型RC 梁の性能照査型耐衝撃設計法を提案することを目的に,筆者らが過去に実施した静的曲げ耐力が異なる2 種類の大型RC 梁に対する衝撃荷重載荷実験結果を数値解析によりシミュレートし,解析結果の妥当性を検証した上で数値解析によるパラメータスタディを実施した.数値解析では純スパン長が8 m 、 せん断余裕度αsc が2.0以上で,静的曲げ耐力が230 kN から1、300 kN 程度までの9 断面の大型RC 梁と1 断面の小型RC 梁に対して,入力エネルギーや質量比をパラメータとする全120ケースの数値解析を実施し,残留変位に着目して統一的な整理を行った.本研究により得られた結果を整理すると,以下の通りである.[*]1) 大型RC 梁の衝撃荷重載荷実験における残留変位は,LS-DYNA による数値解析結果と非常によく整合している.2) 重錘質量W と大型RC 梁の支点間質量B との比である質量比W / B が重錘衝撃力や残留変位等に影響を及ぼすことが数値解析結果により明らかとなった.3) 全解析ケースで入力エネルギーと残留変位は小型RC 梁に対する実験結果と同様に線形関係にあり,高い相関が認められた.また,直線の勾配は静的曲げ耐力の逆数と高い相関関係にあることが確認できた.4) 上記関係を基に,入力エネルギーと残留変位を規定し,その規定値に対応した静的曲げ耐力を有するRC 梁を設計することで,耐衝撃設計が可能となる設計式を提案した.5) 提案式は,静的曲げ耐力をPu (kN),質量比に関する補正係数をβ,入力エネルギーをE (kN・m),残留変位をδ (m) とすると,以下のように示される. Pu = 0.42 ・ βE/ δ 本提案式は,重錘と梁の質量比の異なる条件下において,大型RC 梁の比較的広範囲な入力エネルギーに対応可能であり,性能照査型耐衝撃設計法の確立に資する設計式と考えられる. |