我が国では,平成7年度の兵庫県南部地震以降,緊急輸送道路における橋梁の耐震補強が進められている.特に積雪寒冷地域においては,冬季の低温環境や施工期間が短いといった耐震補強工事の施工部分に不利な条件を有するため,多数の橋梁の耐震補強工事を効率的かつ経済的に実施するためには,これらの条件に適応した新たな耐震補強工法を検討し,採用していくことも必要である.本報告では,積雪寒冷地域での経済性と施工性に配慮した耐震補強工法としてアラミドロープ巻付け補強の各ケースにおける実験およびその結果について報告するものである.[*]実験結果より得られた知見を整理すると,以下のとおりである.(1)アラミドロープ巻付け補強により,RC柱の変形性能およびエネルギー吸収量が向上する。ただし,降伏剛性や最大曲げ耐力の増加は見られない.[*](2)アラミドロープ巻付け補強において,樹脂を全面に含浸した場合と含浸しない場合では,変形性能の向上効果に差は見受けられないが,エネルギー吸収量は樹脂を含浸した場合がやや大きくなる.[*](3)アラミドロープ巻付け補強において,コーナー部に鋼材を設置して補強した場合,補強無しに対して変形性能やエネルギー吸収量が向上する. |