道路橋の RC 床版の劣化要因は,大型車両の輪荷重の繰り返し作用による疲労劣化が主たる要因とされ,それに加え床版に生じたひびわれに雨水が浸入すると疲労耐久性が著しく損なわれるといわれている.特に北海道においては,積雪寒冷な気象条件から起因する「凍害」や凍結防止剤散布による「塩害」の材料劣化を受ける過酷な状況にあるといえ,全国の都市圏に比べ交通量が少ないにも関わらず,毎年十数橋の床版打替えが行われている.そこで本研究では北海道内の既設橋梁から切り出した床版と,それをモデルとして新たに製作した床版の輪荷重走行試験機による疲労実験を行い,積雪寒冷地特有の劣化作用を受けた床版の補修・補強による疲労耐久性向上(延命効果)について検討を行った.[*]結果は以下の通りである。製作床版(上面で1cm 程度の凍害劣化と下面のひび割れ密度で3~4m/m2 程度がある床版を再現)において,上面における劣化部除去とジェットコンクリートによる補修で換算破壊回数は6.7 倍となり,CFRP 接着による補強ではさらにそれが93 倍になった.これらの結果から本研究で実施した補修補強によって,RC 床版の疲労耐久性の向上がみられ,特にCFRP 接着による補強では一般的な供用年数を大きく超える延命効果が試算された.ただし,格子状に配置したシートで矩形に囲まれるコンクリート内での押抜きせん断破壊が生じないことが前提であり,シートの配置間隔については十分な留意が必要となる. |