岩盤崩落は,長いタイムスケールでみると,「①地殻変動→②不等変位,ひずみ,応力発生→③微小破壊発生→④明らかな亀裂の発達→⑤大型割れ目の形成→⑥不連続面発生→⑦不安定独立岩体生成→⑧弱部小崩壊(落石)→⑨不安定岩体崩落」という過程を経ると考えている。崩落直前の落石状況の観察は,岩盤崩壊を予知する有効な方法の一つと考えている。著者らは,岩盤斜面で起きる大小の落石頻度を面的に検出するため,ケーブル状の振動検出用ケーブルセンサの応用に関する研究を進めてきた。本発表では,繊維ロープ内部に元のケーブルセンサCS を巻き込んだ振動検出用繊維ロープセンサ2種類を試作し,感度と使用可能な限界ひずみを求めた。[*]本研究で明らかにした点は次のようである。1)ロープセンサTRCS-Ⅰ,TRCS-Ⅱは,元のセンサを繊維ストランドで巻き込むことで,打撃付加の使用条件下で約2倍の強度を示した。ロープセンサでは外傷・剪断に対する防護効果も期待される。2)2 種類のロープセンサの許容伸び量はひずみで表すと約12%で,元のCSの9%から12%まで3 割方増加している。3)ロープセンサ2 種類は少なくとも伸びひずみ14%~17%までは出力感度を保っている。平均値でみて,TRCS-Ⅰは元のケーブルセンサ感度に対し70%,TRCS-Ⅱは80%の感度を持つ。2 種類のロープセンサは,感度特性および環境適応性があるという観点から有用と考えられる。 |