| 冬期間結氷が発生する閉鎖性水域の海水交換を評価検討する際には、氷板の存在による抵抗が流速に与える影響を考慮する必要がある。蒔田、佐伯(2002)は、海氷制御構造物であるアイスブームや氷板の存在下におけるサロマ湖の海水交換についての数値計算を実施している。また、竹内、佐々木(2003)も氷板存在下での能取湖における海水交換をFEMにより検討した。木岡ら(2008)はアイスブームへの荷重伝達や氷盤の挙動に関し、個別要素法による数値解析、室内実験および理論解析を通した系統的な研究を実施してきた。また、アイスブームは氷海中の油の拡散を防ぐ意味においても有効な手段との認識がある。一方、結氷する河川の場合においても、北海道における河川の結氷特性に関する系統的な研究が実施されてきた(例えば、岸ら(1961);山口(1990);平山ら(1981);山下ら(1991))。さらに、Majewski(1988)は、結氷河川における氷板下の流速分布形状を計測することにより、氷板と水流との間に発生するマニングの粗度係数の決定法を提案し、同時に現地データも報告している。[*]以上より、氷盤群の流体抵抗係数は基本的かつ重要な値であるため、室内水槽実験によりそれらの値を算定することにした。本研究では、特に、実海域の氷群のサイズ、形状の不均質性に注目することとし、マニングの粗度係数に与える氷群の各種形状やサイズの影響を検討したのでそれらの結果を報告する。 |