北海道内の供用橋梁から積雪寒冷地特有の劣化作用を受けた床版を切り出し,さらに補修・補強を施した床版を製作して輪荷重走行試験機による疲労試験を行い,積雪寒冷地床版の疲労耐久性及び補修・補強効果について検討した.本研究のまとめおよび考察を以下に示す.(1) 水の影響によるRC 床版の疲労寿命は約1/10 に低下するのに対し,水の影響と凍害の複合劣化を受けた床版の疲労寿命は,約1/150~1/320 になった.(2) 上面で1cm 程度の凍害劣化と下面のひび割れ密度3~4m/m2 程度の床版において,上面における劣化部除去とジェットコンクリートによる補修で,疲労寿命は6.7 倍となった.(3) (2)と同様の床版に対し,さらにCFRP プレートの接着による補強を行った床版では疲労寿命が93 倍となった.(4) CFRP プレートによって補強した場合の延命効果を3 種類の効果に分けて考える理論に基づき,実験によって得られた寿命増加率13.8 倍を中立軸の深化による寿命増加率2.32 倍,異方性度改善による寿命増加率2.23 倍,ひび割れ面劣化の抑制による寿命増加率2.67 倍の積で表わした.[*]本研究で実施した補修・補強によって,RC 床版の疲労耐久性の向上がみられ,特にCFRP 接着による補強では大きな延命効果が試算された. |