近年、工事規模の大型化に伴う工事の長期化から、経済的施工による工事の早期完成が求められている。特に高規格幹線道路等の建設にあたっては、高盛土で大規模な土工が増加している。道路建設工事費全体に占める土工に係わる費用の割合は相当に高いことから、効率の良い土工が、工事全体の経済性や工期短縮に大きく影響するものと考えられ、建設コスト縮減や早期供用による社会的な経済効果に直結するものと期待される。[*] 現在、道路土工における盛土の締固めは、路床を除き、一層の厚さ30cmを標準として施工、品質管理されているが、効率性や経済性の観点から、盛土の一層当たりの施工厚さを標準の厚さよりも厚くすること(以降盛土厚層化と称する)を検討した。[*] また、これまでの研究では、盛土厚層化の施工は大型転圧機械(25t以上のタイヤローラー)により検討されていたが、その保有台数は非常に少ない。そこで、盛土厚層化施工の適用拡大を目指すために、実際に現場の盛土施工で使用されている標準的な転圧機械による盛土厚層化施工を検討した。[*]本報告では、粗粒土を対象とした盛土厚層化施工に関する試験施工方法および品質管理方法を再検討し、特に礫質土の盛土厚層化における特質を見出すことができた。これにより、標準的な転圧機械による盛土厚層化施工の採用に向けたフローを提案するものである。 |