本検討は,積雪寒冷地におけるポーラスアスファルト舗装の冬期路面におけるすべり抵抗性の評価を行い,冬期路面対策としてのポーラスアスファルト舗装の適用性について検討することを目的としている.[*] ポーラスアスファルト舗装の冬期路面におけるすべり抵抗性を評価するために,ポーラスアスファルト舗装(空隙率17%、 20 %、 23%)と密粒度アスファルト舗装のすべり摩擦係数をすべり試験車によって測定し,比較を行った.測定を行った場所は,人工的に雪氷路面を作成した試験走行路と供用中の道路であり,雪氷路面の状態は,圧雪,氷板,シャーベット,ブラックアイスの4種類である.測定実施期間は舗装を施工後から施工後3年(or4年)経過までの期間である.[*]検討により,以下のことが確認された.[*](1)圧雪や氷板の路面状態では,雪や氷板がポーラスアスファルト舗装の表面のテクスチャを覆うため,すべり抵抗性に関する効果は見られず,一般の密粒度舗装と変わらないすべり抵抗性を示す.[*](2)シャーベットの路面状態では,ポーラスアスファルト舗装は排水効果によって表面のテクスチャが確保されるため,一般の密粒度舗装よりも高いすべり抵抗性を示す.[*](3)ブラックアイス路面状態では,ポーラスアスファルト舗装表面のテクスチャが確保されていることから,一般の密粒度舗装よりも高いすべり抵抗性を示す.[*](4) 施工後3年(or4年)経過したポーラスアスファルト舗装でも,ブラックアイス路面状態で一般の密粒度舗装よりも高いすべり抵抗性を示しており,すべり抵抗性向上効果の持続性を確認した.[*](5) 空隙率の異なるポーラスアスファルト舗装のテクスチャは異なるが,すべり抵抗性の差は大きなものではない.[*]これらの結果から,積雪寒冷地におけるポーラスアスファルト舗装は, (1)初冬期,晩冬期,(2)除雪レベルの高い地域,(3)比較的雪の少ない地域の冬期路面など,多くの雪氷が存在しない路面状態ですべり抵抗性を向上させる効果が期待できると考えられる. |