独立行政法人土木研究所寒地土木研究所では家畜ふん尿を主とした農村系バイオマスの共同型バイオガスプラントを核とした循環利用技術の研究を行ってきた。その成果について述べる。[*] 寒地土木研究所が別海町に所有する共同型バイオガスプラントの2008年度における乳牛ふん尿を含む地域バイオマスの処理収入は6、260万円であった。これに占める乳牛ふん尿の処理収入は11%に過ぎず、残りの89%がその他のバイオマス副資材に由来し、バイオガス発生効果の小さいバイオマス副資材が全処理収入に占める割合も37%と決して低くなく、日本において共同型バイオガスプラントの経営を安定化させるには、バイオガス発生効果の高低に関係なく、処理収入の大きい地域バイオマスを積極的に受け入れることが重要であることを示した。乳牛ふん尿のみを原料とした消化液に比べて、その他の地域バイオマス副資材と共発酵させた消化液では肥料成分である窒素およびリン酸がそれぞれ約2割および約4割増大することを示した。消化液の草地圃場への散布は土壌表層の腐植の集積、膨軟化、排水性の良化をもたらし、牧草の乾物収量および栄養分である粗蛋白含量の約1割の増大をもたらした。 |