セメント改良土の強度は同一の土,安定材,材齢で比較すると養生温度が高いほど大きな値を示すことや,0℃以下になると強度発現が期待できない,と報告されている.これらはセメント改良土の養生条件が強度発現に与える影響,特に強度発現に必要な養生温度について報告したものであるが,養生温度を一定とした実験条件であり,実際の現場条件のように外気温が絶えず変化している状況を再現したものではない.北海道では冬期の気温が時間帯によって0℃を境に大きく変化する地域があるが,このような養生条件下では得られる強度が一定温度の養生条件下と異なる可能性がある.そこで,一定の養生温度条件と養生温度を変化させた条件において,セメントで改良した泥炭の強度発現の傾向を各種試験で整理した.[*]実験の結果,養生温度5℃以上で経時変化によって細孔径が1μm以下へピークが移行した.また,試行的に実施した偏光顕微鏡撮影より,各養生温度で生じている間隙状況を把握することができた.これらの数値は今回の試験結果であり泥炭すべてに該当するものではないが,強度発現に必要な養生温度が一軸圧縮強さだけではなく,セメント改良土に存在する細孔径分布,偏光顕微鏡による観察からも明らかになった. |